世界じょうしき図鑑大人になる・結ばれる

結納ゆいのう日本の婚約のしるし

日本で、結婚の約束が調ったしるしに、両家が金品を取り交わす儀礼です。仲人が酒と肴を持って訪ねた古い形から、昆布やするめなどの縁起物を並べる結納品、顔合わせの食事会が主になった今まで、その歴史と流れを紹介します。

日本江戸時代〜結婚今も行われている

概要

結納は、結婚の約束が調ったしるしに、両家が金品を取り交わす日本の儀礼です。そのときに贈る金品のことも、結納と呼びます。ふつうは男性の側から女性の側へ贈ります。受け取った側が、その一部を返すこともあり、これを「結納返し」といいます。

結納では、縁起のよい名前や形をもつ品々が使われます。昆布やするめ、かつお節などに、めでたい字を当てた名前をつけ、台に並べて贈ります。

今は、結納をせず、両家がそろって食事をする「顔合わせ」を選ぶ人が多くなっています。

歴史

酒と肴を持って訪ねる

日本大百科全書によると、古い結納は金銭を伴わず、品物も飲食のためのものでした。仲人が酒と肴を持って女性の家を訪ね、縁談の承諾を得ると、その場で酒を酌み交わして婚約を認め合ったといいます。各地に残る「酒入れ」「樽入れ」という呼び名は、そのころの形を伝えるものとされます。

「結納」という言葉の起こりには、説がいくつかあります。両家が新しく縁を結ぶための飲食「ユイノモノ」から来たとする説や、縁談の申し入れを意味する「言い入れ」がなまった「ゆいいれ」に「結納」の字を当てたとする説です。辞書には、18世紀の初めごろからの用例が載っています。

2つの段階に分かれる

嫁が夫の家に移る「嫁入婚」が広まると、婚約は2つの段階に分かれていきました。まず酒を持って内諾を得て、その後あらためて金品を届け、婚約を確かなものにする形です。後のほうの結納が重く見られるようになり、作法は武家の礼法である小笠原流などを手本に整えられたとされます。

贈る品も変わりました。百科事典マイペディアによると、品物は酒肴から、しだいに嫁の衣装や装身具が中心になり、近年は金銭に目録を添える形が多くなりました。結納金は、もとは女性に帯や小袖、男性に袴を贈っていたことから、婚礼衣装の代金という名目で包むものとされます。

祝い方・祭りの流れ

結納の品や進め方は、地域や家によって違います。関東の正式な形では、9つの品をそろえるとされます。贈る品の一覧である目録、干して伸ばしたあわびの長熨斗(ながのし)、結納金を包んだ金包(きんぽう)、扇子の末広(すえひろ)、白い麻糸を束ねた友白髪(ともしらが)、昆布の子生婦(こんぶ)、するめの寿留女(するめ)、かつお節の勝男節(かつおぶし)、酒だるの家内喜多留(やなぎたる)です。

どの品にも、願いが込められています。扇子は末広がりに、友白髪は夫婦がともに白髪になるまで連れ添うことに、昆布は「よろこぶ」に通じるとされます。するめは日持ちすることから、末永い幸せを表します。かつお節は雄節と雌節を一対にし、二つで一つの夫婦を表すともいわれます。

国立国会図書館の電子展示によると、かつお節は「勝つ魚」に通じることから武士に好まれたともいわれ、江戸時代にも祝いの品として定着しました。大正時代には、百貨店が婚礼用のかつお節の詰め合わせを売り出しています。

品の数にも意味があります。奇数は古くから縁起のよい数とされ、とくに9はめでたい数とされました。

今の暮らしの中で

結婚情報誌「ゼクシィ」の2024年の調査(全国の推計値)では、結納をした人は7.0%でした。結納はせずに両家の顔合わせだけをした人は85.6%です。地域による差は大きく、九州では結納をした人が15.2%で、2018年の28.5%から減っています。東北にも、1割を超える地域があります。

結納をした人の中でも、形はさまざまです。同じ調査では、結納品があった人のうち、7品目が27.8%で最も多く、9品目は12.7%でした。結納返しをしなかった人も約4割います。結納金があった場合の平均額は95.2万円でした。

よくある誤解・豆知識

法律の上では「贈与」と考えられています。 日本大百科全書は、結納を、婚約が成り立ったことを確かめるための贈与と説明しています。婚姻が成り立たなかったときは、受け取った側が返す義務を負うとされます。

結納品は水引で飾られます。 和紙で作る飾りひもの水引は、国内の生産量の約7割が長野県飯田市で作られています。明治時代に髪を結う元結の需要が減ったとき、飯田の人々がその技を生かして水引を作り始め、やがて結納品も手がけるようになったと伝わります。

皇室では「納采の儀」と呼びます。 「納采」は結納を取り交わすことを指す古い言葉で、今は皇族の場合にだけ使われます。

参考文献

最終更新:2026-10-19

このページは、世界の人生の節目のお祝いを、暮らしの行事として紹介するものです。宗教の教えの説明や、参加・まねをすすめるものではありません。

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