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サリー南アジアの1枚の布の装い

縫わない1枚の長い布を腰に巻き、ひだを寄せて肩にかける南アジアの女性の装い。ふだん着にも結婚式の晴れ着にもなります。言葉の由来、ブラウスと合わせる今の着方が広まった経緯、土地ごとの巻き方と布の産地を紹介します。

南アジア(インド・バングラデシュ・ネパール・スリランカなど)古代〜(今の着方は19〜20世紀に広まった)ふだん着今も続いている

概要

サリーは、縫わない1枚の長い布を体に巻いて着る、南アジアの女性の装いです。布の長さは4〜9mほど、幅は60〜120cmほどで、土地や着方、場面によって違います。多くの布は、長い辺の両側に細い縁取りがあり、片方の端には幅の広い飾りの部分があります。

インドのほか、バングラデシュ、ネパール、スリランカなどで着られています。ふだんの服としても、結婚式や祭りの晴れ着としても使われます。今は、丈の長いペチコート(下にはくスカート)と、丈の短いブラウス(チョリ)を合わせて着るのが一般的です。

歴史

「サリー」という言葉は、細長い布を表すサンスクリット語の「シャーティー」にさかのぼるとされます。英語に入ったのは18世紀のことです。

古い彫刻や壁画には、腰に布を巻き、肩に別の布をかけた女性の姿が残っています。人類学者のムクリカ・バナルジーとダニエル・ミラーは、記録をさかのぼれる限り、南アジアの女性は土地ごとに違う装いをしてきたと説明しています。縫った服も、縫わない布も、どちらも着られてきました。

ブラウスとペチコートを合わせる今の形が広まったのは、19世紀ごろからとされます。ベンガル地方では、19世紀の終わりごろまで、ブラウスを着ずにサリーをまとう女性が多かったといわれます。詩人タゴールの兄の妻ジュナーナダーナンディニー・デーヴィーが、ボンベイ(今のムンバイ)で暮らしたパールシーの人々の着方を取り入れ、ブラウスとペチコートを合わせた着方を広めたという話も伝わります。

20世紀には、人前で働き、活動する女性が増えるなかで、今「ニヴィ」と呼ばれる着方が各地に広まったとされます。手織りの布は、外国の布を買わずに国内の品を使おうとした「スワデーシー運動」とも結びつきました。インド政府は、この運動が始まった1905年8月7日にちなんで、2015年から8月7日を「全国手織りの日」としています。

着方・作り方

いちばん広く見られるニヴィの着方では、まずペチコートとブラウスを着ます。布の端をペチコートの腰に挟んで腰に巻き、前で4〜10本ほどのひだを折って挟みこみます。残りの布は胸の前を斜めに通して左肩にかけ、背中に垂らします。肩から垂れる端の部分は「パッルー」と呼ばれ、いちばん飾りの多いところです。

巻き方は、インドだけでも100ほどあるとされます。マハーラーシュトラ州の漁村の女性が8ヤード(約7m)の布で着る巻き方や、ひだを脚の間に通してうしろに挟む巻き方、肩にかけた端を前に回す巻き方などです。

布は、手織りのものも、機械で織ったものもあります。素材は綿・絹・化繊などです。南インドのカーンチプラムの絹のサリーや、北インドのバナーラス(ヴァーラーナシー)の金糸を織りこんだサリーは、インドの地理的表示に登録されています。バングラデシュの首都ダッカの周りで織られる薄い綿の「ジャムダニ」は、2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

今の暮らしの中で

今も、毎日の服や仕事の服としてサリーを着る人はたくさんいます。一方で、都市では、ゆったりしたズボンと長い上着を組み合わせる「サルワール・カミーズ」を着る人も増えたとされます。

結婚式は、今もサリーのいちばんの晴れ舞台です。花嫁の色は、北や東の地方では赤、南のケーララ州では白というように、土地によって違います。ふだんのサリーは綿や化繊、祭りや儀式のサリーは絹、と使い分けられることが多いといわれます。手織りのサリーを選ぶことが、織り手の仕事を支える気持ちの表れとして語られることもあります。

よくある誤解・豆知識

縫わないのは布だけです。 サリーの布そのものは縫いませんが、合わせるブラウスとペチコートは体に合わせて仕立てます。ブラウス用の布が、サリーの端に続けて織られていることもあります。

長さはヤードで言うことが多いです。 「6ヤード(約5.5m)のサリー」「9ヤードのサリー」のように、布の長さで種類を呼び分けることがあります。

一つの宗教の服ではありません。 ジャムダニのサリーは、バングラデシュでもベンガルの女性の主な装いとされています。土地の言葉や暮らしと結びついた装いとして、さまざまな人に着られています。

参考文献

最終更新:2026-10-17

このページは、世界の装いと美容の品を、歴史と文化として紹介するものです。医療上の効果や、美容上の効果を保証するものではありません。肌に合わないときは使用をやめ、気になることは医師や薬剤師に相談してください。民族や信仰にかかわる装いは、その意味を尊重して紹介しています。

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