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ベビーボックスフィンランドの育児パッケージ

フィンランドで、子どもが生まれる家族に国の社会保険庁が贈る、赤ちゃんの服や世話の品が詰まった箱。1938年に始まった母親手当の制度から生まれ、今も多くの家族が受け取っています。その歴史と暮らしの中の姿を紹介します。

フィンランド1938年〜日々の世話今も続いている

概要

ベビーボックスは、フィンランドの社会保険庁(Kela)が、子どもの生まれる家族に贈る箱です。フィンランド語ではアイティウスパッカウス(äitiyspakkaus)、英語では maternity package と呼ばれ、日本では「育児パッケージ」とも訳されます。

中には、赤ちゃんの服や世話の品が入っています。箱の底にはマットレスが敷かれ、箱そのものを赤ちゃんの寝床としても使えるように作られています。

この箱は「母親手当」という国の制度の一つの形です。家族は、箱を受け取るか、現金を受け取るかを選べます。2026年4月1日以降に出産予定の家族では、現金なら210ユーロです。

歴史

低い所得の家庭から、すべての家庭へ

フィンランドで母親手当の法律ができたのは1937年です。翌1938年から支給が始まりました。米国議会図書館の解説によると、法律ができた背景には、子どもの死亡の多さと、生まれる子どもの数の減少への心配がありました。

初めは、所得の低い母親だけが対象でした。それでも1938年には、新しく母になった人の約3分の2が手当を受けています。支給は現金か品物、またはその両方でした。1949年からは、所得にかかわらず、フィンランドに住むすべての母親が受け取れるようになりました。

布から、できあがった服へ

米国議会図書館の解説では、初めのころの箱には、母親が自分で白い服を縫うための布と型紙が入っていました。今の箱には、できあがった服やおむつ、体温計、毛布、よだれかけ、絵本などが入っています。服の色は、1970年代半ばまでは白が中心でした。今は男の子にも女の子にも合う色が選ばれています。

1994年からは、Kela が制度を担当しています。

子育ての風景

箱を受け取れるのは、妊娠が154日以上続き、妊娠18週までに健診を受けた人です。養子を迎える家族も対象になります。出産予定日の2か月前までに申し込むと、決定からおよそ2週間で、長距離バスの荷物便で家に届きます。双子のときは、手当が3つ分になります。

箱を開けると、季節ごとの服が出てきます。フィンランド政府の広報サイト(2018年)は、雪の日用のつなぎや手袋、帽子、寝袋にもなる掛けもの、爪切り、歯ブラシ、ヘアブラシ、湯の温度計などを紹介しています。中身は毎年見直され、2026年版には52の品が入っています。柄の一部は、利用者の投票で選ばれます。箱は店では売られていません。

Kela によると、手当は年に約5万件で、そのうち約3万件が箱です。初めて子どもを迎える母親は、ほぼ全員が箱を選びます。全体では、約3分の1が現金を選んでいます。

赤ちゃんを寝かせる場所については、今は各国に公的な案内があります。日本では、消費者庁や厚生労働省が、1歳になるまでは寝かせるときはあお向けにすること、敷き布団やマットレスはかためのものを使うこと、顔の近くに口や鼻をおおう物を置かないことなどを呼びかけています。

今の暮らしの中で

ベビーボックスは、80年以上続く国の制度として、今もフィンランドの暮らしの中にあります。毎年、新しい箱の中身が発表されます。2026年には、手当の額が170ユーロから210ユーロに上がりました。

ほかの国にも、似た取り組みが広がりました。スコットランドでは、2017年から政府が「ベイビー・ボックス」を贈っています。服や体温計、タオル、本、マットレスなどが入り、箱は寝る場所としても使えるとされています。

フィンランドの国立博物館は、2019年にボランティアが作った「箱」を収蔵しています。滞在の資格を持たないために、国の箱を受け取れない母親のために用意されたものです。

よくある誤解・豆知識

「箱のおかげで赤ちゃんの死亡が減った」とは言い切れません。 箱は、乳児の死亡を減らしたものとして紹介されることがあります。しかし Kela の研究ブログは、それを確かめるデータはないとしています。乳児の死亡は、手当が始まる前の1900年代初めから大きく減り始めていました。1920年代にできた母と子のための相談所も、大切な役割を果たしたと説明されています。

箱と健診は結びついています。 すべての母親が対象になった1949年には、妊娠4か月が終わるまでに、医師や助産師、自治体の妊婦の相談所を訪ねることが条件に加わったとされます。今の条件は「妊娠18週までに健診を受けること」です。

箱は厚紙でできています。 1942年から、箱そのものを赤ちゃんの寝床として使うようになったと、米国議会図書館の解説は伝えています。今の箱にも、底にマットレスが敷かれています。

参考文献

最終更新:2026-10-17

このページは、世界の子育ての習わしを、歴史と文化として紹介するものです。子育てや医療の助言ではなく、どの方法がよいかを比べるものでもありません。赤ちゃんの寝かせ方・抱き方・食事は、自治体や小児科の案内に従ってください。

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