ブジオス占い16の貝で神託を聞く
16個のタカラガイを投げ、口が上を向いた貝の数から神々(オリシャ)のメッセージを読む、ブラジルのアフリカ系宗教カンドンブレの占い。西アフリカのヨルバの伝統に由来します。
発祥:ブラジル(ヨルバの伝統に由来)19世紀ごろ〜儀礼解説のみ
概要
ブジオス占いは、ブラジルのアフロ・ブラジル宗教「カンドンブレ」などで行われてきた、タカラガイを使う占いです。ポルトガル語では「ジョーゴ・ジ・ブジオス」と呼ばれます。「ブジオス」は貝殻のことで、「ジョーゴ」は遊びやゲームを意味し、その動詞には「投げる」という意味もあります。
占いを行うのは、カンドンブレの祭司です。女性の祭司は「マンイ・ジ・サント(聖人の母)」、男性の祭司は「パイ・ジ・サント(聖人の父)」と呼ばれます。
由来と歴史
16世紀から19世紀にかけて、多くのアフリカの人々が奴隷としてブラジルへ連れてこられました。その中には、現在のナイジェリアやベナンに暮らしていたヨルバの人々もいました。ブラジルで奴隷制が廃止されたのは1888年のことです。
人々は厳しい環境の中でも、故郷の神々「オリシャ」への信仰を守り続けました。こうして、ブラジル北東部のバイーア州を中心に形づくられたのがカンドンブレです。信者たちは、カトリックの聖人とオリシャを重ね合わせることで、信仰を守ってきたともいわれます。
カンドンブレは長いあいだ偏見や取り締まりの対象となってきました。その一方で、バイーア州の州都サルヴァドールにある古い礼拝所「カーザ・ブランカ」は、1984年、ブラジルの国の文化財保護機関IPHANの審議会で、文化財として保護することが決まりました。カンドンブレの礼拝所としては初めての例とされています。
仕組み
占いには16個のタカラガイを使います。祭司は祈りの言葉を唱えてから貝殻を投げ、口(割れ目)が上を向いた貝が何個あったかを数えます。その数によって「オドゥ」と呼ばれる答えが決まります。祭司はオドゥにまつわる伝承をもとに、どのオリシャが語りかけているのか、どんな助言があるのかを読み取ります。
カンドンブレでは、この占いによって、その人を守るオリシャを知ったり、儀礼が必要かどうかを判断したりするといわれます。つまり、宗教生活の入り口や節目で大切な役割を果たす占いなのです。
文化の中での位置づけ・現代
人類学者ウィリアム・バスコムは、この「16のタカラガイ」の占いを、ヨルバに特有の占いの一つと位置づけました。ナイジェリアのイファと同じく、16を基本とするオドゥの考え方をもち、詩や伝承と結びついています。
ただし、両者には違いもあります。イファは主に男性の祭司ババラウォが担いますが、タカラガイの占いは男性も女性も行います。バスコムは、キューバのアフリカ系宗教でも同じ系統の貝殻占いが広く行われ、おそらく最も重要な占いだろうと述べています。
ブジオス占いは、ブラジルでは占いとして広く名前を知られています。しかし、その中心にあるのはカンドンブレなどの信仰と結びついた宗教的な実践です。そのため、このサイトでは文化的な背景の紹介にとどめ、体験は提供していません。
よくある誤解・豆知識
タカラガイは、かつてアフリカやアジアの広い地域で貨幣としても使われた貝です。西アフリカでも長く通貨として流通しました。占いの道具であると同時に、豊かさを象徴する貝でもあったのです。
また「ジョーゴ(遊び)」という名前から娯楽のように思われることもありますが、信者にとっては神々との対話の手段です。
参考文献
- William Bascom, “Sixteen Cowries: Yoruba Divination from Africa to the New World” (Indiana University Press, 1980)
- William Bascom, “Ifa Divination: Communication between Gods and Men in West Africa” (Indiana University Press, 1969)
- Encyclopaedia Britannica「Candomblé」 https://www.britannica.com/topic/Candomble
最終更新:2026-10-08