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手で食べる南アジアの手食の作法

インドなど南アジアでは、ご飯やパンを右手の指で食べる習わしが受け継がれています。手を洗うこと、使う手の決まり、一人分ずつ盛る器、南インドでバナナの葉に盛る祝いの食事サディヤの並べ方などを紹介します。

インド・スリランカ・バングラデシュなど南アジア古くから作法と道具今も続いている

概要

インドやスリランカ、バングラデシュなど南アジアでは、ご飯やパンを手で食べる習わしが広く受け継がれています。手で食べることを、日本語で「手食(しゅしょく)」といいます。平凡社の『世界大百科事典』は、アフリカ、中近東、インド、東南アジア、太平洋の島々などで、今も手食の伝統が生きていると説明しています。

南アジアの手食では、右手の指で食べ物を口に運ぶのが作法とされます。左手は、食べ物を口に運ぶ手としては使いません。左手は体を洗うときに使う手と考えられ、食べ物に触れる手と分けられています。食事の前には手をよく洗います。

歴史

食べ物を手で口に運ぶのは、人類にとってもっとも古い食べ方です。ヨーロッパでも、ナイフ・フォーク・スプーンで食べる習わしが広まったのは、18世紀以降のことです。

南アジアの手食には、器の使い方にも特徴があります。手で食べる地域の多くでは、大きな器に盛った料理を皆で取って食べます。これに対してインドでは、一人ひとりに料理を盛り分けて出すのがふつうだと、『日本大百科全書』は説明しています。金属の大皿に、汁物やおかずを入れた小さな器を並べる「ターリー」は、その代表的な形です。

木の葉の器も、古くから使われてきました。インドでは今も、葉で作った器が使い捨ての食器として使われています。南インドでは、祭りや祝いの席で、大きなバナナの葉を皿にします。

食卓の風景

食事の前に、手を洗います。インドで人をもてなすときは、料理を出す前にも手を洗うことが礼儀とされます。主人が客の皿に料理を盛ることもあれば、客が自分で取ることもあります。自分で取るときも、ふつうは右手を使い、指か取り分け用のスプーンで盛ります。

ご飯を食べるときは、右手の指で、ご飯とカレーや豆の汁を混ぜ、ひと口分にまとめて口に運びます。北インドで多い小麦の薄いパン(ロティ、チャパティ)は、ちぎっておかずを包むようにして食べます。

南インドのケーララ州では、祝いの食事「サディヤ」がバナナの葉に盛られます。州の観光局によると、葉の細くなった先が、座った人の左側に向くように置くのが決まりです。漬け物やおかずは葉の上の決まった場所に置かれ、ご飯は手前の半分に盛られます。ご飯は、おかずと揚げ菓子がすべて並んでから出されます。

そのあと、豆の汁(パリップ)、野菜と豆の汁(サンバル)と続き、甘いパヤサムが途中で出ます。もう一度ご飯とヨーグルトの汁、辛いラサムが出され、最後に酸っぱいバターミルクが出ると食事は終わりです。品数は25を超え、オーナム祭りのサディヤでは40を超えることもあります。床のござに、あぐらをかいて座って食べるのが昔ながらの形です。料理を運ぶのは、近所の人たちが手伝うこともあります。

今の暮らしの中で

ケーララ州では、収穫の祭りオーナムの日に、家族でサディヤを囲む習わしが続いています。結婚式などの祝いの席でも、バナナの葉の食事が出されます。

手で食べる習わしは、家庭だけでなく、町の食堂でも見られます。一方で、都市ではスプーンやフォークを使う人も多く、料理や場面によって使い分けられています。

食事のときには、口や指で一度触れた食べ物を、ほかの人に分けない習わしもあります。そうした食べ物は「ジュータ」と呼ばれ、ほかの人に回さないものとされます。そのため、パンを皆でちぎって分け合うことは、あまりしないとされます。

よくある誤解・豆知識

決まりのない食べ方ではありません。 手で食べるときにも、使う手、指の使い方、器の置き方など、細かな作法があります。サディヤでは、葉の向きや料理を置く場所まで決まっています。

手食は南アジアだけのものではありません。 中東やアフリカ、東南アジアなどにも手食の伝統があります。地域によって、指の使い方や器の形はそれぞれ違います。

日本にも手で食べる料理があります。 寿司やおにぎりは、今も手で食べることのある料理です。江戸時代の握り寿司は、屋台で売られ、手でつまんで食べる軽食でした。

参考文献

最終更新:2026-10-17

このページは、世界の食の習わしを、歴史と文化として紹介するものです。健康や栄養、食事の取り方についての助言ではありません。食事の内容は、年齢や体の状態に合わせて、医師や管理栄養士に相談してください。